ビル事業計画に必要なデータと解説
目 次 税 金 初期投資 資金調達 営業収入 営業支出 更新費 減価償却


法人税等
(1)法人の種類

法人には、株式会社などの営利法人(法人税法では、普通法人と称する)、宗教法人、学校法人をはじめ、特定の目的で拠出された財産を運営する財団法人、複数人の集まった組織である社団法人などの公益法人、住宅金融支援機構、UR都市機構などの公共法人の3種類があります。
このうち、営利法人は利益を獲得することを目的として組織された法人であり、法人税は課せられますが、公益法人が、その本来の活動をして収入を得ても、その収入に対しては非課税となります。ただし、副業として収益事業を営んだ場合は、軽減される制度はあるものの、原則として課税されます。公共法人は一切課税されません。

(2)課税対象額

課税の対象となる金額は、事業を営むことにより生ずる経常利益額です。
経常利益とは、経常収入から、経常支出、減価償却費、借入金金利等を引いた額です。
単年度で、この額が赤字であれは、課税されません。又、この赤字の額は、それ以降の10年間に渡って、繰越しができます。したがって、10年以内に黒字計上がされれば、その額と相殺することができることになっています。
この「欠損金繰越控除制度」は、中小法人等以外の大法人に対しては、繰越控除前の所得金額の50%が適用されます。中小企業法人等は所得金額の100%が適用されます。
中小企業法人等とは、@資本金が1億円以下の普通法人 A公益法人 B協同組合 C人格のない社団等を言います。
なお、実際に支払う法人税等は、事業を営む法人の全体事業の合算により計算されます。したがって、ビル事業収支計画により計算される課税対象額は、数ある事業の中での一つのプロジェクトから生まれる利益として算出され、それにより必要になるであろう法人税等の予算を計上しておく、という意味合いを理解しておくとよいでしょう。

(3)法人税

課税対象額に税率を乗じて算出する国税です。
税率は、普通法人に対しては所得金額(課税対象額)の23.2%です。
その場合の、800万円超所得分の標準税率を加えた実効税率は約30%となっています。
なお、公益法人や協同組合等の収益事業に対しては15%の法人税率になっています。

(4)法人住民税

法人税額に、税率を乗じて算出します。
税率は、所得割の標準税率が都道府県民税として1.0%、市町村民税6.0%の合計7.0%です。
また、制限税率は、都道府県民税2.0%、市町村民税8.4%、合計10.4%となっており、東京都特別区に所在する法人に対しては、制限税率いっぱいを適用しています。
さらに、法人の資本金、従業員数など規模に応じた均等割の法人住民税が課せられますが、これは、単独プロジェクトの計画に関わりなく課せられるものであり、ビル事業収支計画としては、考慮しないのが通常です。

(5)事業税

所得金額(課税対象額)に応じて課せられる市町村税です。
標準税率は、以下の通りです。
@ 年間所得金額 400万円以下の部分は、3.4%
A 年間所得金額 400万円を超え800万円以下の部分は、5.1%
B 年間所得金額 800万円を超える部分は、6.7%
制限税率は、上記標準税率の1.2倍となっています。
なお、支払った事業税額は、翌年の損金(経常支出)として認められます。






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