ビル事業計画に必要なデータと解説
目 次 税 金 初期投資 資金調達 営業収入 営業支出 更新費 減価償却


消費税

消費税は、物品の売買などのような金銭の授受を伴う取り引きにおいて、その取引金額に対して課税される間接税です。
その計算方式には、消費税も価格の一部として計算する内税方式と、消費税を分離して計算する外税方式がありますが、事業収支計画を立案し、そのの本質を見極めるためには、税抜き処理である外税方式を採用した方が明確になります。

(1)非課税課目

消費税には、課税される課目と、非課税となる課目があります。非課税となる課目は以下のとおりです。

@投資項目

・土地取得費
・土地取得登録税
・建物取得登録税、抵当権設定料
・開業前金利

A収入項目

・住宅に対する家賃、更新料、礼金、共益費など

B支出項目

・人件費
・固定資産税、都市計画税等
・火災保険料
・借地料
・借入金金利

(2)税率

税率は、国税として7.8%、地方税として2.2%(7.8%×22/78)の10%です。

(3)課税方式

外税方式では、収入に関わる消費税を仮受け消費税、支出に関わる消費税を仮払い消費税として計上し、その差額が、事業者が支払う、納付消費税となります。
課税に対しては、消費税計算方式の決定方法に従い次の3方式があります。

@原則型

消費税の原則となる課税方式で、仮受け消費税から仮払い消費税の差額が、納付消費税になります。この方法を採用していれば、仮払い消費税の方が 仮受け消費税より大きい場合、還付申請を行う事により、翌々年に還付を 受ける事ができます。
開業前にかかる費用で、初期支出などの投資に対して 消費税を支払っていた場合、2年後に還付を受けられますが、この方式を採用していないと還付は受けられません。
したがって、賃貸事業を開始する場合、収入の額に関わらず事業開始後2年間はこの方式を採用して置く事が得策です。
3年目から、次に述べる適用条件に合致していれば「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することにより変更が可能です。
また、減価償却の対象となる取得価格は、税抜き価額が採用されます。

A簡易課税制度

消費税の計算には、実際にかなりの手間がかかり、小規模事業者にとっては大変です。
そこで、前々年度の収入の合計が(当該事業のみでなく、事業者としての全体に対する収入)、5千万円以下の場合、簡易課税制度の適応ができます。
この方式によると、経常支出の経常収入における割合を不動産賃貸事業の場合40%とみなし、当該年度の消費税対象収入の40%に対し、消費税率をかけた金額が納付消費税となります。
通常の賃貸事業では、経常支出の経常収入に対する割合は40%までかからないため、差額が生まれるのが一般的です。事業収支計算では、この差額が生まれた場合、翌年の雑収入として、計上することができます。

業種別のみなし仕入れ率は、以下の通りです。(平成27年4月1日以降)
第1種事業(卸売業)90%
第2種事業(小売業)80%
第3種事業(農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業)70%
第4種事業(第1〜3種及び第5〜6種以外の事業(飲食店業など)60%
第5種事業(金融、保険、運輸、通信業及び飲食店以外のサービス業)50%
第6種事業(不動産業)40%
なお、不動産賃貸事業以外の事業を兼業している場合、各事業収入を加重平均して求めた率で計算することになりますが、兼業の一種類の課税売り上げが75%以上である場合には、その業種のみなし仕入れ率を全体に適用して良いことになっています。
この場合の減価償却の対象となる取得価額は、税込みの価格となります。

B免税

前々年度の収入額の合計が(当該事業のみでなく、事業者としての全体に対する収入)、1千万円以下の場合、免税となります。
したがって、仮受け消費税と仮払い消費税の差額は、雑所得または、雑損失となります。
なお、原則型、簡易課税制度いずれを採用していても、当該年度の消費税対象金額の収入が1千万円以下の場合、納付消費税額は0です。
この場合の減価償却の対象となる取得価額は、簡易課税と同様に、税込みの価格となります。

(4)賃貸住宅の場合

先に述べたように住宅に関する家賃等の収入は非課税です。したがって、原則型を採用していても、賃貸住宅の消費税計算は複雑になり、以下のように計算します。
ただし、収入全体の95%以上が課税対象であれば、100%課税として計算できます。
@営業収入の中で、課税対象割合を計算します。
A営業支出のうち課税項目の支出額に@をかけた金額が、控除される消費税額になります。
B借受け消費税から、Aを引いた金額が、納付消費税となります。
C建築費等の資本的支出に対する支払いがあり、仮払い消費税が借り受け消費税より大きい年でも、資本的支出に@をかけた金額のみが還付されます。それ以外の金額は、消費税の支出として、翌年の損金となります。
D経常的支出に対しても、Cと同様の計算となります。




[目 次] [税 金] [初期投資] [資金調達] [営業収入] [営業支出] [更新費] [減価償却]

[PM-NET top]