ビル事業計画に必要なデータと解説
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開業費

上記以外の開業に必要な費用では、以下のような項目が考えられます。それらは、事業の進め方、建物用途により異なりますので、プロジェクトを進める体制、その企画内容を想定した中で、必要と思われる費用を予算立てしておくことになります。


@テナント仲介料へ
A広告宣伝費へ
B人件費(業務委託費)へ
C維持管理費へ
D近隣対策費へ
EPM-Fの基本設定へ


@テナント仲介料

建設省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受け取ることができる報酬の額」によると、賃借の仲介、代理の場合は、依頼者双方から受け取れる額の合計が家賃の1ヶ月以内となっています。(特に居住の用に供する建物に対しては、依頼者の承諾を得ない限り、一方から受け取れる報酬の金額は、家賃1ヶ月分の2分の1以内です。)
一括借り上げ方式などで、テナントが決まっている場合や、事業委託方式で、テナント斡旋業務も含めて事業を委託する場合は、個別に予算計上する必要はありません。

A広告宣伝費

テナントリーシングに対する広告宣伝費で、仲介業者と提携する場合は、仲介料に含まれるものとして、予算立てする必要はありません。
商業ビル等、開業後一般の顧客を対象とするビルで、オープンにあたって、ビル全体のの告知が必要な場合は、パンフレット製作、イベント費用など、共同販促費用として、テナントから徴収するとともに、オーナー負担分として費用を計上しておく必要があります。
その費用としては、告知効果(ポスター等であればその場所の通過人数、雑誌であれば発行部数、テレビでは時間帯、視聴率などと、大きさ、枚数、長さなどの量)により、千差万別ですが、年間売り上げ想定額の2%程度が目安になります。

B人件費(業務委託費)

プロジェクトの進め方によります。PM(プロジェクトマネージャー)の役割を外部に委託する場合には、その委託費用を計上し、オーナー側は、プロジェクト専任の体制を組まない限り、計上する必要はありません。また、委託先が、設計事務所等であれば、委託費用は、設計料として計上することもあります。
いずれにしろ、必要な期間に対する人件費が予算建ての基礎になります。

C維持管理費

建物竣功後、引き渡しを受ければ、その建物はオーナーの管理下に入り、テナント入居まで期間があくとすれば、その間の管理費用が発生します。
これは、事業収支計画を立てる上では、開業時をいつに設定するかにより異なり、初年度家賃の稼働率設定との関連で考慮すれば良いことになります。
また、商業ビルの場合は、原則としてオーナー工事(甲工事)完了引き渡し後、テナント内装工事(乙工事)が始まるため、最短でも引き渡しから開業まで1ヶ月程度は必要です。
但し、この間の家賃受領も契約により可能です。

D近隣対策費

ビル影、電波障害等ビルができることによる影響に対する費用と、工事中の騒音等に対して、近隣に迷惑をかけることに対する費用があります。
前者は、共同アンテナを設置するなど、技術的な対策で処理をすることが原則ですし、後者は、工事業者の責任で対応することになります。
したがって、これらの費用が建築工事費に含まれているものを確認すれば、事業者として予算立てする必要はありません。
しかし、地域性や計画内容により様々であり、思わぬ費用が発生したり、目論見どおりの計画ができない場合がありますので、慎重に対応することは必要です。

EPM-Fの基本設定

以上の事項を根拠に、PM-NETが提供する事業収支計算プログラム「PM-F」などでは、建築工事費を基本として、次の様に初期値を基本設定しています。
なお、近隣対策費は、建築工事費に含まれるものとして、どの用途でも、なしとしています。

建物用途 PM-Fの設定 テナント仲介料 広告宣伝費 人件費 維持管理費
共同住宅 建築工事費の
0.5%
(右項目の合計)
建築工事費の
0.25%
(注-1)
なし テナント
仲介料
と同額
なし
事務所 建築工事費の
1.0%
(右項目の合計)
建築工事費の
0.5%
(注-1)
なし テナント
仲介料
と同額
なし
商業ビル 建築工事費の
2.2%
(右項目の合計)
建築工事費の
0.5%
(注―1)
建築工事費の
1.0%
テナント
仲介料
と同額
建築工事費の
0.2%
(注―2)

(注-1)
  • テナント仲介料=家賃総額の1ヶ月(共同住宅は0.5ヶ月)
  • 事業利回り(年間家賃/建築工事費)=6%と設定すると
  • テナント仲介料/建築工事費=6%/12月=0.5%
(注-2)
  • 年間維持管理費=建築工事費×1.2%%
  • 開業前維持管理費を年間維持管理費の2ヶ月分とすると
  • 開業前維持管理費=建築工事費×1.2%×2/12月=建築工事費×0.2%





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