ビル事業計画に必要なデータと解説
目 次 税 金 初期投資 資金調達 営業収入 営業支出 更新費 減価償却


運営費(人件費)
(1)業務内容

ビル運営業務は、アセットマネジメント業務ともいわれ、建物の総合的な資産を運営し、収益を管理する業務です。ビル事業をひとつの企業経営と捉えれば、経営戦略の立案、実行をする業務といえます。ビルの維持管理業務(プロパティーマネジメント業務)と一体的な関係があり、明確な線引きが難しい部分もありますが、次のような業務が該当します。

@資産運営業務

競合する他のビルとの差別化や、テナントの満足度を考慮の上、ビルの維持管理仕様を設定するとともに、中長期修繕計画を立案し、常に高度な環境を有するビル機能を提供するように計画、実行する業務です。館内のサインや什器備品の設置、安全に対する管理対策なども含まれ、ビル維持管理に対する戦略立案業務といえます。

A収益管理業務

テナントからの賃料、共益費などの経常収入、及び維持管理費、水道光熱費などの経常支出等に対する年間予算を作成し、実際の請求、入金管理や支払いをを行う業務です。

Bテナント管理業務

テナントの状況を常に把握し、要求事項に対して迅速に対応するとともに、賃貸契約の更新、入れ替え業務などにあたります。

Cその他

地域の一員として、近隣住民との対応や、町内会などへの協力、消防など諸官庁との折衝業務などがあります。

 

(2)費用設定

この業務に必要とする経費は、基本的に人件費とそれに関連する諸経費で、ビルの用途、運営方式、テナントの数、そして、ビル運営者(ビルオーナー)の状況により異なります。

@一括賃貸

ビル全体を特定の1社に賃貸するのであれば、開業初期に運営計画を立案し、それに基づく賃貸契約を結ぶことにより、経常的に発生する運営業務は、ほとんど不要で、特別な変更のない限り、経費は特に計上する必要はありません。

A事務所、住宅

複数のテナントを有するビルでも、事務所、住宅などの固定家賃を基本としたビルであれば、業務量から考慮して、常駐人員は必要としません。常時のテナント等に対する対応であれば、維持管理業務の一環として、設備管理業務の中に、この仕様を設定することは可能です。

B商業ビル

商業ビルで、売り上げ歩合家賃を併用している場合などは、テナントの売り上げが賃貸事業の収益に直接関連し、ビル全体の販売促進や、毎日の売り上げ管理が必要となるため、テナントの数、業種、業態にもよりますが、2 〜3人の常駐人員は必要です。

Cビルオーナーの状況

ビルのオーナーが個人や小企業の場合、または、従業員対策の一環として特定の経費を必要とする場合など、ビル計画の前提条件として必要であれば、その金額を見込みます。

D費用設定

以上のことを考慮し、常駐、非常駐を含めた必要人員から、人件費を想定し、それと同額程度の諸経費を見込みます。


なお、この運営業務を専門企業に一括外注する場合、収益の増減によってフィーも連動するインセンティブ方式が一般的ですが、その費用は、家賃収入の4%程度が目安となります。
PM-NETが提供する事業収支プログラムPM-Fなどの初期設定では、この考え方を採用しています。
また、ビルオーナから見れば一括賃貸となるサブリース方式の場合、空室リスクを負うことになるリースホルダーが設定する賃料は、想定全収入の80〜85%(運営収入15〜20%)が一般的目安です。

 







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