ビル事業計画の手引き
目 次 目的と進め方 土地利用計画 建築計画 事業収支計画

その他の規制


その他の規制としても、様々なものが存在しますが、その中で、企画段階でチェックが必要と思われる4項目の規制を上げます。

(1)防火、準防火地域

建築物が密集し、火災の発生する危険性が高い地域に対し、建築構造上の構造規制をする事により、都市の不燃化を図ることを目的にして、防火地域、準防火地域が定められています。建ぺい率の緩和に関係してきます。

(2)駐車場付置義務

地方公共団体が、条例により、自動車交通が輻輳する一定の地域や、自動車の駐車需要発生の割合が高い建築の用途(特定用途)に応じ、一定規模以上の建築の新増設に対し、駐車施設の付置義務を課しています。
付置義務の対象となる地域は、市区町村により様々で確認が必要ですが、大都市では、商業地域、近隣商業地域は、駐車場付置義務があると想定するのが妥当です。
面積算定基準も市区町村により異なりますが、東京都区部の駐車場整備地区の例で見ると、特定用途の床面積(非特定用途では床面積の3/4)が1500u以上で付置義務対象となり、床面積300uに1台(百貨店、その他の店舗では、250uに1台)の駐車台数が必要となります。特定用途とは、用途計画で設定した業種のうち、事務所系、商業系、ホテル系、スポーツレジャー系が該当します。
また、付置義務駐車場の設置が不可能な場合は、当該建築物から300m以内の場所に設置することも認められる場合があります。
なお、住宅系の用途に対しては、「集合住宅駐車施設付置要綱」などの様に、別の条例により規制している例が多く見られます。

(3)住宅付置義務

東京都心部などのにように、人口減少地域における市区町村は、一定規模以上の住宅以外の建築の新設に対し、一定割合以上の住宅の付置義務を課している場合があります。しかし、中央区などの様に、近年マンションの急増地帯は、この付置義務を廃止した自治体もあり、基準等も様々ため、確認が必要です。
また、付置義務駐車場と同様に、同区内の別の敷地に付置義務住宅を設置することも認められます。

(4)大規模小売店舗立地法

旧来の大店法に代わって、2000年の6月に施行され、旧法のような地元小売店の売り上げ減少に対する調整はない代わりに、地域の利便性、生活環境面での必要な対策を講じるよう求められることになりました。
対象となるのは、売場面積1000uを越える大型店で、交通渋滞対策、駐車場対策、騒音対策、ごみ処理対策などの審査が行われます。この中で、企画段階で特に関連するのが、交通対策のうち、駐車場の必要台数です。大店立地法指針によると必要台数は以下の式で算定されます。
(来店者原単位・人/千u・日)×(店舗面積・千u)×(自動車分担率・%)×(ピーク率・%)×(平均駐車時間係数)/(平均乗車人員・人/台)
たとえば、来店者原単位:1000人/千u・日、店舗面積10千u、自動車分担率70%、
ピーク率15.7%、平均時間係数1.75、平均乗車人員2.5人/台とすれば、
1000×10×0.7×0.157×1.75/2.5=769.3
約770台の駐車場が必要となります。
これを、どのような形態でとるようにするのかが、企画立案の上で、事業計画上大きなポイントとなります。



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