ビル事業計画に必要なデータと解説
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損害保険料
1)損害保険の分類

損害保険を大別すると、財産危険に備える保険、人的危険(障害、病気)に備える保険、費用危険(事故による利益や費用の損失)に備える保険、責任危険(各種事故による賠償責任)に備える保険に分けられます。
ホテルやアスレチッククラブなど直営事業を営む場合は、従業員の保護や営業上の事故に対して、様々な保険契約をする必要がありますが、一般的なビル賃貸事業の場合には、火災保険といわれる建物(事務所、住宅、店舗など)や動産(什器備品)が火災などの事故によって損害を受けたとき、その損害を補償する保険(上記の財産危険に備える保険)のみで十分と考えられます。
また、火災保険の契約対象物件には、住宅物件、一般物件、工場物件、倉庫物件があり、それぞれ料率の算定式が異なりますが、住宅物件は主に自己用の木造を対象としたものであり、工場物件、倉庫物件もPM−NETでのビル賃貸事業の対象から除外しているため、一般物件のみを解説します。
なお、地震保険は、居住の用に供する建物及び家財に限られており、賃貸用建物は対象外となっています。


2)保険料の算定式

保険料は次の計算式により算出され、保険料率は、保険金額1000円に対しての一年当たりの保険料とし表示されます。
保険料=保険金額×保険料率/1000
この中で、保険金額とは、保険契約に基づいて支払われる保険金の最高限度額を示すもので、通常は建物や、什器備品の取得価格として設定します。
保険料率は、建物の所在する地区、構造により基本料率を求めた後、危険度の状況に応じた割増や割引を適用し算出します。そのうち、賃貸ビルの保険料率算定に影響を及ぼす料率は、用途による割増、消火設備の内容等による割引があります。


3)基本料率

基本料率は、過去の火災等のデータから、都市毎に等級をつけ(1等地〜3等地)細かく設定されています。
建物の構造は、特級から4級まで別れており、特級構造は、主要構造体、及び外壁がRC造、1級構造は主要構造体が、SRC造、RC造又は、耐火被覆したS造で、外壁がカーテンウォールなどのガラスや金属板張りの建物が該当します。2級構造は鉄骨スレート、3,4級は木造が対象です。
特級構造においては、建物と動産に別れていますが、一括契約の場合は、動産も建物の料率が適用されます。


4)用途による割増率

建物用途による割増率を設定し、これを基本料に加算します。
このうち、一つの建物が2以上の用途に使われている場合は、そのうちの最も高い割増率を適用します。


5)消火設備割引

損害保険料率算定協会の定める規則に合致し、かつ損害保険料率算定協会に合格した消火設備を有する場合は、割引が適用されます。ただし、2種類以上の設備が併設されたときの割引率は30%を限度とします。


6)一般特定物件割引

構造が特級か、1級の建物で、合計床面積が6000m2以上かつ保険金額が10億円以上の場合は、一般特定物件として、以上の料率から算定した値に更なる割引が適用されます。
この割引率算定には、消防署からの距離や、防火に対する建築計画の使用により様々であり、詳述を避けますが、建物については40%以内、収容動産については30%以内の特定割引が適用されます。一般に、消防検査に合格する建物であれば、20%程度の適用は考慮できると設定して差し支えないと考えます。


7)損害保険料の算定

PM-NETでは、以上のようなデータに基づき、損害保険料を算定するプログラムを提供しています。

PM-R






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